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地産(47) 後志でなにが生産されているの

ピュアホワイト
中井農園
 中井 宏国 氏



ピュアホワイトとは
 ピュアホワイトとは、トウモロコシの品種。光沢のある白一色の粒が並ぶその姿は正に名前の通り「純白」。特徴は、真っ白な実と強い甘さにある。通常、トウモロコシといえば黄色い実を思い浮かべるが、皮を剥いた瞬間の白さには驚く。新鮮なものは生でも食べることができる。生はトウモロコシというよりもみずみずしいフルーツに近い味。ピュアホワイトの糖度は平均して約15度~18度、メロン並みの甘さだ。

中井農園
 今回の生産者は岩内郡共和町の中井農園。以前にも本誌で西洋野菜を取り上げた際の生産者グローアップのメンバー中井宏国さんが、5年程前からピュアホワイトを生産している。
 中井さんは農家の3代目。祖父の代は稲作が中心だったが、父親の代になりトウモロコシも生産するようになった。父親がトウモロコシを手掛けたきっかけは平成6年の冷害。この年、稲が被害に遭い、収入が大幅に減った。これを機に、冷害対策として、収入を補填する作物としてトウモロコシを生産するようになった。
 現在は父親と共に、畑では、そば、小麦、トウモロコシ、水田ではななつぼしを生産している。中井農園の9月は小麦以外の作物の収穫時期。従来のトウモロコシの出荷は9月中旬。25本入りケースで毎日、約100箱を出荷する。これが約2週間位続くという。トウモロコシの収穫はすべて手作業、日の出前から作業は始まる。トウモロコシは鮮度とおいしさを保つため、朝もぎが必須条件。日が高くなる前にその日の出荷分を収穫しなければならない。毎日、2,500本を手でもぐ。これを父親と二人でこなすというのだから、かなりの重労働。しかも稲やそばの収穫と重なってくるため、早朝から日没までフル稼働の日が続く。

ピュアホワイトとの出会い
 中井さんがピュアホワイトを栽培するようになったきっかけは、富良野地区へ農業視察に行った際、この品種に出会ったことだった。トウモロコシの常識を覆す実の白さ、そして強い甘さは衝撃的だった。それまでトウモロコシといえば、品種の違いがあれ穀物の範疇だった。しかしピュアホワイトはフルーツ感覚だった。早速、生産者から種を分けてもらい栽培を試みるようになった。まだ、ピュアホワイトの出始めで一般にはまだ出回っていない時だった。
 一般的にピュアホワイトの栽培は手が掛かるといわれている。一つには発芽率が他の品種より低いこと。もう一つは、他の黄色いトウモロコシの花粉が混ざらないように育てなければならず、他のトウモロコシと離れた畑で栽培しなければならないため、作業効率が悪くなることだ。それでも中井さんは有機肥料にこだわり栽培を続けている。作付面積は10a程度と少ない。それは、まだピュアホワイトの販路が広がっていないからだ。共和町でピュアホワイトを生産している農家が少なく収穫量が少ないため、農協では取扱できない品種となっている。そのため、直売で消化できる量のみを生産している。

札幌のとうきびワゴンを支える共和町
 共和町は、らいでんメロン、らいでんスイカの生産で有名。8月から9月にかけて農協の選果場はピークを迎える。また稲作と共にトウモロコシの生産量も多い地域で、出荷のピークは9月の中旬。
 実は共和町のトウモロコシは、札幌の大通公園のとうきびワゴンへ供給していることでも有名。とうきびワゴンは、7月中旬頃までは冷凍のトウモロコシを使っているが、7月下旬頃から共和町のピーターコーンという品種の生トウモロコシに切り替わるという。なぜ共和町産を使うのかというと、道内のトウモロコシ産地の中でも、共和農協が早い時期から出荷できる態勢をとっているのが理由の一つだという。
 とうきびワゴンの歴史は古く、明治後半に平岸村(豊平区)の小作農家が自分で作ったトウモロコシを焼き、それを大通で売ったことから広がったという。1960年代後半には100台近い屋台があり、1本20円~40円位だったそうだ。そんな歴史を今は共和町のトウモロコシが支えている。

おいしさを伝えるには
 今年は残念ながら、6月から7月にかけての雨不足の影響でピュアホワイトの畑は不作に終わった。それでも地元のスーパーやイベントでの直売では出荷後、すぐに売り切れる人気。少しずつファンが増えてきている。来年からは、もう少し生産量を多くし、おいしさをたくさんの人に知ってもらいたいとい中井さんはいう。しかし、そのためには独自の販売先を開拓しなければならず、営業活動もしていかなければならない。しかし営業には実際にピュアホワイトを持参しなければならないが、ピュアホワイトの収穫時期が他の農作業の繁忙期と重なり、外へ出向くことが難しい。これが大きな課題となっている。それでも徐々に広げていきたいという思いがある。
 一番おいしい食べ方は、早朝にもいでから4~5時間以内に食べることだというが、一般消費者には不可能なこと。トウモロコシは収穫後、時間が経つごとに味が水っぽくなっていくので、とにかく買ったら時間を置かずに、すぐに皮を剥いて茹でること。中井さんの茹で方は、多めの塩を入れた鍋に水の状態から火にかけ、沸騰してから5分弱で火を止める。ゆで加減は好みがあるが、一度試してみては。

中井農園
〒045-0122 岩内郡共和町発足190-220
*今年度は生産量が少なかったためピュアホワイトの販売は終了いたしました。