小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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アーティスト(9)

世界の布生地からmaternnaを通して生まれる愛情
小物布雑貨作家
MASUMI 氏
E-mail:maternna@yahoo.co.jp
http://ameblo.jp/maternna/


MASUMI氏 小樽市で仲間達とシェアスペースを手作りしています。今はまだボロボロですが、今後は自分達のものづくり工房・ワークショップ開催など、地域の方々とコミュニケーションできる場にしていきたいです!
MASUMI氏 小樽市で仲間達とシェアスペースを手作りしています。今はまだボロボロですが、今後は自分達のものづくり工房・ワークショップ開催など、地域の方々とコミュニケーションできる場にしていきたいです!

今年から参加させていただいているzakka de ALTOさんでのMaternnaブース。ディスプレイもほとんどが手作りです。
今年から参加させていただいているzakka de ALTOさんでのMaternnaブース。ディスプレイもほとんどが手作りです。

志向
「世界中の布生地をコーディネートしてキーケース・ポーチ・ティッシュケースなどの小物を創作しています」というMASUMI氏はその動機を「母がパッチワークをしていたことや、中学生時代にアメリカン・ビンテージの古着に興味を持ち、小遣いの許す範囲で集めていました。結婚して子供が生まれてから、子供のヨダレカケなんかを、かつて集めた生地を使ってリメイクしたのがキッカケになりました」
 我が子への愛情表現として自ら創作した小物をつくるようになったという。
「私の趣味や嗜好として、どちらかというとカラフルな模様の生地をよく使います。雑貨作家のネットワークも誕生してイベントでの出品や自分でウェブ上で通販をしています。前号で掲載された吉田さんからもご紹介をいただいてzakka de ALTOにも出品させていただいています」
 こういう創作活動の中で、NPO法人ピース(札幌)の小樽支部をまかされ、収益事業の一部をアフリカの人々の生活向上にあてたり、アフリカの作品を日本で販売するお手伝いもされている。

コンセプト
「私の創作のコンセプトはmaternnaといって、私の造語ですが、小樽の方言で「まてな」つまり丁寧なという意味を込めています。私の両親は昔の運河保存運動のポートフェスティバルで知りあい結婚しましたが、私が子供の頃から両親を通しておもしろい大人の環境がいつもありました。ですから私の周りには私にとって憧れの大人がたくさんいました。そういう憧れの一つ一つが、いま私がつくろうとする作品のヒントにもなってくれています」
 えっ?と思わず訪ねると、ポートで肩を並べて作業をされていた笠井さんとケメちゃんがその両親だと知らされた。むべなるかなである。

希有
 戦後の日本では廃墟を這いずり回ってたたき上げてきた第一世代と、政治感覚や国際感覚に敏感な団塊の世代といわれる第二世代はともに世代共通の社会的テーマがあった。以後の笠井氏やケメちゃん、そして筆者の世代は第三世代ではあったが、世代共通の社会的テーマがなかった。そして我々の第三世代が親となって生まれてきた子供の時代から、ひきこもりや登校拒否が増加していく。
 親である我々の世代はノンポリといわれ、シラケが充満する。だから人生の糧は、いきつくところ拝金主義。したがってそんな親に育てられた子供が人生をうつむき加減でネガティブに感じるのも身に覚えがないとはいえない。
 幸い、MASUMI氏のご両親と筆者は「まちづくり」などという仮想に焦点を合わせ、ノンポリながらも人生のなにがしかのテーマを実践してきたことは幸せというしかない。
 しかも「両親を通しておもしろい大人と数多く出会った」という現象は合点がいく。しかし同世代の多くはそうではない。

事例
 小樽雪あかりの路に関する取材をこれまで何度かしてきたが、「ご近所ネットワーク」が消失した時代に、近所の大人達が集まって一生懸命雪像を造る風景を子供達が見てきた事実を知っている。
 そもそも雪あかりが始まる時代には「ご近所ネットワーク」などほとんどが消えていた。同時に銭湯もなくなり、大人同士が仲良くコミュニケーションをとる風景を見るのは至難の業。だから雪あかりはこの街に浸透してきた。
 大人同士の仲が良いことは、こうした愛情豊かな子供が育まれる。こういう若者が、また我が子に手ずからの愛情を注ぐ風景は絶対に消してはいけない。

学び
「今後は洋服の分野にも挑戦するために洋裁を勉強しています。また子供が好きなこともあってチャイルド・マインダーという資格を取得して、2人の子供をお預かりしてなにかを創作する楽しさを伝えられたらと思っています」
 愛された子供は自分や他人を大切にすることの意義を覚える。そこから夢が生まれ、夢を育む苦労は苦労でなくなる。親から子への理想的な継承だ。