小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top

編集後記

半沢直樹


 「倍返し」「十倍返し」「百倍返し」という流行語を放った「半沢直樹」というテレビドラマを正月鑑賞した。
 権力あるいは立場にかこつけて不正をはたらき、見事に隠蔽する悪を退治する勧善懲悪の現代版シナリオだ。刑事モノでは普遍的なシナリオだが、業界モノとしては新鮮なためハマッてしまった。
 刑事ではないから、裁きを裁判に委ねるのではなく、イジメられた本人が不正を暴くことによって土下座させることが返しとなる。「やられたらやり返す」ことはヤクザの「カエシ」と同様だが、裁判という品格に委ねることへの不完全燃焼は、やられた者であれば誰もが抱く気持ちを反映している。恥をかかせプライドをズタズタにすることで、権力と立場を失わせる結果を導き、この崩壊の転機が土下座に象徴される。以後、大和田常務は半沢本人はおろか、不正すらはたらく意欲を喪失する。
 だから最終章で下される頭取の裁きは、大和田に対し、取締役を維持させたまま銀行員として蓄積された能力のみを残し、半沢に対し、真逆の出向を命じる。それは当行のみではなく、金融界全体を変えることのできる希有なる資質を半沢に託し、こんなもんで納得させない育成を感じる。

歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和