ありがたさと教育
幸福感を持てるありがたさを味わったこともない者にサービス業などできないし、物のありがたさを味わったこともない者に小売業や製造業などできず、自然のありがたさを味わったこともない者に農業や漁業などできない。
とすれば共通するのは「ありがたさ」ということになる。そもそも需要と供給の架け橋に「ありがたさ」が位置づけられているように思う。
ところが消費者の側に「あいつは売って儲けてるのだから別に感謝などする必要がない」という指摘もある。まるで儲けることが悪であるかのような誤解である。儲けなければ維持できないことを知らないだけだが、こういう層が実に多い。いわゆるネタミ・ソネミだから本来論外だが、多いことが問題になる。
かつてこの国では成熟するための教育が熱く語られたように、今後、成熟した国の行く末をどう教育するかが大きなテーマになる。
歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和