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地産(37) 後志でなにが生産されているの

かぼちゃ
板東農園
代表 板東 均 氏



コリンキー
コリンキー
農業へのきっかけ
 板東 均さんは板東農園4代目。初代の曽祖父は明治期後半、徳島県から開拓農家として上富良野へ入植。家畜を飼いながら農業を営んでいた。その後、米を栽培するため赤井川村へやってきた。上富良野時代から115年、農業を営んでいる。
 均さんはソフトウエア専門学校卒業後、東京でソフトウエア関係の会社へ就職。当時はバブル景気で業界も多忙を極めていた。やがて時間に不規則な生活が続いたことで体を壊してしまう。やむを得ず体の将来を考え、33歳で赤井川村へ戻ることにした。ここからが均さんの農業の始まりとなる。

バターナッツ
バターナッツ
カルデラは恵みの里
 赤井川村は四方を山に囲まれたカルデラ状の地形で、高台盆地特有の気候が特徴。夏と冬の気温差は50℃にもなり、この気温差が農作物をおいしくさせるともいわれている。また、村内は余市川と赤井川の2つの流域からなり、水に恵まれていることも農業に適した地域といえる。赤井川村で作付面積が多い品目は、米、じゃがいも、かぼちゃ、スイートコーンなど。また、メロンやスイカは甘くておいしいと、評判になっている。
 板東農園は春のアスパラから始まり、スイートコーン、にんにく、かぼちゃ、じゃがいも、米などを栽培。約30‌haの農地を父と二人で管理している。

まさかり
まさかり
かぼちゃ栽培
 北海道は全国のかぼちゃ生産量の4割以上を占め、全国一。赤井川村もかぼちゃ生産量は米やじゃがいもと並び、多い作物。その多くは一般に馴染みのみやこなど数品種がメインとなり出荷されているが、均さんは、消費者の食の多様化もにらみ、食感や味など様々なものを提供できるように取り組んでいる。
 現在、板東農園では6品目のかぼちゃを栽培。みやこ、メルヘンなどのほくほく系、まさかり、雪化粧、コリンキー、バターナッツなどのしっとり系と種類も豊富。特に均さんが農園に入ってからは積極的に新たな品種に挑戦している。
 かぼちゃと一口にいっても、煮物に適したもの、天ぷらに適したもの、スープに最適なもの、生食できるものなど様々。食の提案もイメージしながらの栽培だ。
 板東農園のこだわりは特別栽培。100%有機栽培では中々味が出てこないので、多少別の化成肥料は入れているという。「有機栽培です」と言い切ると安心安全というイメージで聞こえはいいが、おいしくなければ意味がない。安心安全と言い切れるぎりぎりのところで栽培することにこだわっている。
 かぼちゃは3月下旬に種を植え、苗を育てる。5月中旬には畑に定植、8月から順次収穫に入る。8月上旬はみやこやメルヘンなど、8月下旬からはまさかり、雪化粧などの収穫が続く。今年は夏の雨が少なかったため、多少、実が小さい傾向だが味は良いとのこと。
 近年、面白い品種が出てきた。3年程前から生で食べられるコリンキーという表皮がオレンジ色のかぼちゃだ。今、料理人からは面白い食材として注目されている。かぼちゃを生で食べるという、これまでにないもので、サラダや華やかな盛り付けに最適だという。均さんはこの品種に興味を持ち栽培に取り組んでいる。プロの料理人にとっては色々と使える食材。しかし、一般消費者にも食べて欲しいと、直売所では調理例を添えて販売している。

地域で取り組む「直売通り」
 板東農園がある赤井川村日の出地区では2年前から「日の出直売通り」と称し、各農園の前に直売所を設置し、土日を中心に9月いっぱいまで販売をしている。現在13の農園が参加。直売スタイルは店ごとに様々だが、自慢の作物を販売している。今年は1ヶ所に8戸が試験的に7月中旬から設置した直売所も実験的に行った。直売所のあり方については現在も模索している段階だという。
 1ケ所に直売所を設置する方法は各地であるが、地区全体が直売所となり農園を巡らせる方法は珍しい。均さんも「日の出直売通り」実行委員のひとり。この取り組みは単に新鮮なものを安く提供するだけでなく、各生産者と消費者が相対することで、栽培のこだわりを伝えたり、消費者のニーズを直に捉えることができたりと、顔の見える関係ができることに大きな意義がある。

理想は直売
 均さんが農業を始めて今年で16年目。父から農業の基本を学びこれまで技術を積み上げてきた。露地栽培であれば、ほとんどの作物が1年に1回の収穫。16年経っても16回しか収穫を経験できない。だからこそ均さんは収穫した作物を大事に売りたいと強く思っている。こだわりやおいしさを伝えることができたら、お客様との信頼関係が築けると考えている。そのためには本当の意味での直売が理想であり、そしてものづくり、販売に正直に向かい合いたいという。
 現在、仁木町の「きのこ王国」の直売所に板東農園も出店している。一度立ち寄ってみては。因みに均さんはこの直売会の副会長も務めている。

板東農園
〒046-0501 北海道余市郡赤井川村字赤井川454番地
TEL&FAX (0135)34-6819
E-mail:h-bando356@true.ocn.ne.jp
*日の出直売所通りホームページをご覧ください。
http://hinodechokubai.web.fc2.com/
*板東農園のかぼちゃは仁木町きのこ王国直売所でも販売しています。