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帰化人(48) 小樽こだわりのライフスタイル

若者交流都市小樽へ
菊池 夏未 氏



帰化経緯
 菊池夏未氏は1991(平成3)年小樽で生まれ、間もなく札幌に移転し、小学4年の10歳から千葉に移転し東京服部栄養専門学校を卒業と同時に調理師の資格を得る。就活の間際に小樽在住の母が運営される佐藤歯科で受付や事務を手伝うべく来樽。
 母・友美先生の紹介で中小企業家同友会にも顔を出し、青年経営者懇談会に籍を置く。さらに2013年22歳でミスおたるにも選ばれ、4月から様々な出番を得る中で多くの人々と知り合っていく。

小樽への第一印象
 改めて小樽に来たのではなく、生まれた土地であると同時に、何度か訪ねたことがあったが、20歳を過ぎ仕事と生活の場として改めて小樽をこう語る。
「友達もいなくて退屈でしたね。学生時代に友達と遊んだ東京では全く感じなかったことです。私のような世代で女性の場合、遊ぶところがあっても一人ではなかなか出かけられませんから、遊ぶにはどうしても友達が先行します。また小樽は千葉と違ってとても静かな街という印象が強くありました。健康のために朝にウォーキングをよくしていましたが、早朝の運河は静かで美しいと感じました」

2年後の小樽の印象
 同友会青懇、ミスおたる、またスポーツジムにも通う中で、多くの友人ができていく。
「ですから2年前と今では大きく印象が違ってきています。なによりも退屈から安心感を強く感じています。小樽は狭いとよく聞きますが、私にとってはその狭さは新鮮で人と人のつながりが大事にされていると思うので、狭いというよりヒューマンスケールな安心感だと感じています」
 かつて若者が地方から大都市へ向けて流出する精神的動機は、地方の持つ人と人のつながりの密度の濃さからの脱却だった。たとえば「何をしよう」にも地方では子供扱いであるのに対し、大都市は「した何か」への評価がされる。つまり人間ではなく作品への評価であり、その大人扱いへの憧れであった。
 しかし夏未氏はその逆を指摘されている。時代は変わるものだ。人と人のつながりの密度が合うという。これは大都市がヒューマンスケールを切り崩してまで肥大化したことへの反映ではないか。

小樽への展望
「もっと若い人々が増えてくれたらいいなと思いますね。私たちの世代で夜、友達と遊ぶのは居酒屋の場合が普通ですが、オシャレで価格の安い居酒屋はみんな小樽の方々が経営していないチェーン店ばかりなのに気がつきました。大都市には20代後半から30代40代の方々が独自の空間や料理をつくっている居酒屋がたくさんあります。これは寂しいなって思いますね」
 実に的確な指摘である。若者は金もないし飲み代より携帯代に金を使い、無駄金を使うほど余裕がないと世の大人はいうが、オシャレさと若者価格についての指摘は画期的である。

私的小樽
「私はまだ小樽という街について深くは知らないので、街へのこだわりも強くは感じていませんが、調理師の資格を活かしてオシャレなカフェをつくりたいとささやかな夢を持っています。北運河にあるPRESS CAFEのような雰囲気と頑固さが好きですね。学生時代によく出掛けたカフェ巡りはとても楽しくて、友達との会話にも花が咲いた記憶があります。そう、小樽には若い人が集える空間がまだまだあってもいいと思います。観光も大事ですが同じ港町でも横浜や神戸は若者環境が常に新しいものを求めて進化していますよね。こんなにたくさんの観光客がきているのだから、小樽独自のいろいろなカフェがあってもと思います」
 そもそも大人が若者を呼ぼうとしても、大人だけの発想ではつまらないし不可能に近い。若者を呼ぶには若者の着想が、海外から呼ぶには海外の着想が必要だ。観光地に行ったら「郷にいては郷に従え」といわれるように、誘致する場合も同様ではないか。