小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地産(35) 後志でなにが生産されているの

ブロッコリー
ベジタブルワークス(株)
代表 佐々木 伸 氏


畑のブロッコリー
畑のブロッコリー

製氷機
製氷機
ブロッコリー栽培のはじまり
 先月号に続き、羊蹄山麓で奮闘する生産者を紹介。
 雄大な羊蹄山の麓、真狩村緑岡地区はなだらかな丘陵地帯。ここに三代続く生産者、佐々木農園がある。今年から法人化しベジタブルワークス鰍ニして再スタートした。代表は佐々木家の二男、伸さんが務める。他は伸さんの妻、三男の征さん夫婦と母の計5名。
 昭和50年代後半、佐々木さんの父親が祖父から農家を引き継ぎ、2代目として夫婦二人三脚で子育てをしながら農作業に励んでいた。それまでは、セロリや一般野菜を生産していたが、何か目新しい作物はないかと模索していたところ、ブロッコリーが目に留まった。当時、ブロッコリーはまだ珍しい野菜で、羊蹄山麓では生産者もいなかったという。栽培そのものは何とかうまくできたが、ポピュラーな野菜でなかったため、販路が少なく、しばらくの間苦戦した。まだまだ野菜としてのポジションが確立されていなく、しかも食べ方もよく分からない時代だった。
 最も苦戦したのは輸送方法。ブロッコリーは収穫後、低温で保存しないと黄色く変色する性質があり、それを解決するための輸送方法を色々と試したそうだ。その結果、鮮度保持と変色を防ぐための一番の方法は、低温冷蔵した後に氷詰めし輸送することだった。そのため、大きな投資であったが冷蔵庫と製氷機を導入し、本格的な生産体制に入った。父が作るブロッコリーは徐々に品質が評価され、次第に販路も増え順調に生産を増やしていった。ところが、10年程経過したときだった。父が不慮の事故で他界したのだった。

細かな氷
細かな氷
ブロッコリーへのこだわり
 これを機に色々な思いもあり、母はブロッコリー栽培を数年休止し、セロリや一般野菜に切り替えた。しかし市場での取引価格は芳しくなかった。この頃、佐々木さん(現:代表)が高校を卒業し、農業を手伝うようになったこと、冷蔵設備も稼働できる状態だったことで、心機一転、父が培ったブロッコリー栽培を再開することになった。
 父から学んだ栽培技術を糧に親兄妹で広げていったブロッコリー畑は、今では約20‌ha。佐々木さん夫婦、弟(三男)夫婦、母と5人で力を合わせ毎日作業している。因みにベジタブルワークスでは10アール当たり、約4,500株のブロッコリーを植えるという。これを20‌haに換算すると90万株という気の遠くなるような数を1年間管理することになる。すべての株が品質良く生育するためには、健康な土づくりと日々の管理が不可欠。だから堆肥と緑肥づくりにもこだわる。特に取引先から求められる低農薬で栽培するためには手間を惜しまない。 

冷蔵室
冷蔵室
黄色い花が咲く?
 ところで、ブロッコリーはいったいどういう野菜なのか。キャベツの変種で、緑色の塊りは花の蕾。食べる部分はこの蕾と茎である。だから収穫せずに植えたまま育てると、きれいな黄色い花が咲くという。また、よく似たカリフラワーは、ブロッコリーの突然変異で蕾が白化(白子:アルビノ化)したものといわれており、兄弟姉妹のような関係。
春、種から苗を育て5月中旬から畑に定植していく。収穫時期をずらしていくため、定植は1週間ごと。7月から収穫が始まり、11月初旬まで収穫作業は続く。ブロッコリーは意外と寒さや日照りに強い作物だという。

収穫機
収穫機
最盛期 出荷のピーク
 7月、収穫を迎えるこの時期からは、人手が足りなくなるためパートさんが15人以上動員され、総勢20名前後で畑と冷蔵庫を行き来する。畑では自分たちで考案した自走式の収穫機を使い効率よく収穫が進む。箱詰めをする作業場では製氷機もフル稼働。羊蹄山の美味しい伏流水が氷の粒となって箱の中のブロッコリーを埋めていく。1日平均、800箱(L玉20個入り)前後出荷する。 

家族一致団結
 今年から社名も変わり、3代目である佐々木さんが主役となる農園。今、販路を拡げるため農閑期には、佐々木さん自ら本州へ営業活動に出向くという。亡き父が残した設備や栽培技術はしっかりと息子世代に引き継がれ、ブロッコリーに特化し独自の販路を開拓した農業経営となっている。これからは更に販路を拡げるとともに、作付面積も広げることが目標。将来的には冷蔵設備を大きくしたいという。
 佐々木さんのブロッコリーは鮮度抜群。早朝に収穫したみずみずしさが持続される。一番おいしい食べ方をたずねると、獲れたて、茹でたてだそうだ。確かに茹でたての熱々にマヨネーズをつけて食べた時の旨さと、やわらかい甘さに家族の思いが感じられた。


ベジタブルワークス(株)
〒048-1615 北海道虻田郡真狩村字緑岡86番地1 
TEL&FAX (0136)45-2006
http://vege-works.com
*佐々木さんのブロッコリーは、収穫時期は農園前で直売しております。(規格外品)他の農産品はホームページをご覧ください。詳しくはお電話にて確認してください。(収穫期間は10月末まで)