小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top
alwHOMEalw読んでみるalw帰化人(45) 小樽こだわりのライフスタイル

帰化人(45) 小樽こだわりのライフスタイル

社会関係資本とは
北川泰治郎 氏

小樽商科大学ビジネス創造センター
産官学コーディネーター・准教授
〒047-8501 小樽市緑3-5-21
TEL 0134-27-5290 FAX 0134-27-5293



アメリカ放浪
 昭和50年札幌生まれの北川氏は、小樽商科大学に入学し商学部企業法学科を学び日立製作所に就職。5年間在職され、退社後1年間アメリカ放浪に出かける。カリフォルニア、ボストン、ニューヨーク、ワシントンDCなどを放浪。
「アメリカは今日も戦争、もしくは戦争に近い軍事活動をしていますが、中でも特に激しく戦争をしたのは第二次大戦での対日本戦だったのではないかと私は感じています。このアメリカについて知らなければというのが動機でした。またアメリカ人の宗教観や娯楽にも興味をもっていましたので、ラスベガスやハリウッド、そしてベースボール場などにも行って見聞を広げることができました。つまり宗教からは考え方、娯楽からは希望を読み取ろうとしました。多くの印象を持ちましたが、ひとつ事例をあげるとラスベガスがあります。深夜0時少し前に、一日を締めくくる噴水ショーと共にアメリカ国歌が流れるのです。日本では蛍の光ですね。ラスベガスは遊ぶ場所ですが誰もが国歌に違和感を持ちません。この自然さはアメリカ人のアメリカへの誇りだなと感じています」
 アメリカ放浪後、商大大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻に戻り2年間起業について研究。そこから日本オラクルに就職され、米国流ビジネスオペレーションかつ、アグレッシブなビジネス展開を学ぶ。平成24年8月から3度目の小樽商大と縁ができ現在にいたる。
 

今後の研究テーマ
「社会関係資本という言葉をご存じでしょうか。社会資本は俗にインフラですが、社会関係とは人間関係を指します。つまり人間関係の資本を持つと多くのことの達成率があがることが証明されています。3・11の復興でも、ビジネスでも、まちづくりでもそうです。社会関係資本は人間の信頼関係に基づきますので、この信頼関係こそが戦争や紛争を回避する可能性を持つということで、僕はこの社会のダイナミズムに占める信頼関係にとても興味を持ち、今後の研究テーマにしようと思っています」
 なるほど、どんなに素晴らしい案でもそれを実現するにあたり、人間関係によって良くもなり悪くもなる。悪くなったときに信頼を築こうとしても手遅れだ。ではこの信頼はいつどこで生まれるのか。酒を酌み交わすことはその突破口にはなるが築きには至らない。口角泡を飛ばす議論でも同様だ。それは多分、共に戦うというフィルターを通らなければ信頼にはならないだろう。
 特に今世紀に入り急激な環境の変化としてデジタル機器の普及がある。バーチャルで信頼を築くのは困難だ。たとえばメールで報告することはできるが、汗をかいて駆け足で報告を持ってくると、それだけで信頼できる動機になる。なぜなら報告を受ける側には五感で報告者の態度を推し量ることができるからだ。
 そう考えると、北川氏が研究しつつある社会関係資本とは、人間本来のありようにおいても時代的テーマにおいても実に重要で欠かすことができない気づきだ。

小樽観
「僕は泳ぎもできないし、船に興味が強いわけでもないし、釣りに熱中するほどでもないのですが、海を眺めるのが大好きなんです。人間が地球に存在する以上は海がなければなりませんので、海は人間にとっては永遠を象徴する対象ですね。そういう意味では太陽は眺める対象だと目を悪くするし、月も粋ですが夜間のみで少し寂しい気がする。であれば海と対比できるのは山ですが、山よりダントツで海が好きですね」
「現在の立場では多くの経営者から話を聞かせていただく機会に恵まれています。経営者にはその方独自の哲学や行動パターンがあり、この多様性にも実に感動します」
 経営者が発する存在感が海の持つ永遠の存在感なのかもしれない。