小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top
alwHOMEalw読んでみるalw地産(32) 後志でなにが生産されているの

地産(32) 後志でなにが生産されているの

ゆり根のドレッシング「スードレ」
真狩村道の駅管理組合
事務局長 山上 一心 氏




真狩村のゆり根
ゆり根の道内産地として、真狩村は全道一面積が多い。他の産地としては富良野、道北方面、空知方面がある。また、道内産は全国の生産量の98%を占め、残りの数%は東北地方が主産地となる。中でも真狩村は、生産量、作付面積とも圧倒的なシェアだ。
 以前、本誌でも取り上げた真狩村のゆり根栽培の始まりは昭和36年頃で、本格的に栽培されたのは昭和41年以降のこと。なぜ真狩村が、ゆり根栽培が盛んになったのか。それは、この地域の冬は雪深く、出稼ぎも少なかったため、収入を確保するために、少ない面積で高収益が見込めるゆり根は、地域の事情と栽培に適した気候風土が合致し、生産者が増え盛んになっていった。(第22号参照)
 生産量は多いとはいえ、ゆり根は高価なこともあって道内では身近な食材ではなく、道内の流通量は全体の僅か6~7%といわれる。この食材をもっと身近なものにしたいというのが今回の商品開発だった。

特産品の加工
 きっかけは、旭川の日本醤油工業梶i以下、日本醤油)の来訪だった。
 日本醤油のルーツは、旭川の最初の入植者といわれる鈴木亀蔵氏が札幌の笠原兄弟と共同で酒造店を興したのは始まり。その後、昭和3年に道内酒造業の合併で日本清酒活ョ川支店となった。昭和19年、政府の指導で酒造業の企業整備があり、醤油醸造へ転換がはかられた。現在はキッコーマン潟Oループの1社になっている(日本醤油工業芥P参照)
 この歴史ある日本醤油は、醤油生産はもとより、道内各地の野菜を使ったドレッシングも開発しており、次の野菜シリーズの原料として、ゆり根を求めて真狩村を訪れたのだ。品質、生産量とも道内トップの真狩村のゆり根は、ブランドとして開発になくてはならないものだった。すでに北見地区のニンジン、ごぼうや中札内のえだまめを原料にしたドレッシングが同社で開発されており、品質も確かなものだった。
 山上さんは、この企画の窓口となり、生産者と日本醤油との連携、販売企画を担当した。

独自の6次産業化
 近年、農業の付加価値を高めるために「6次産業化」をよく耳にする。真狩村も山麓地域同様、1次と3次は問題ないが、2次(加工)が弱点。山上さんはこれを外注化することで6次化に取り組んだ。メーカーへの原料供給という図式にはなるが、プライベートブランドのイメージで商品を村内で販売することで付加価値がつき、新たな村の特産品となると考えた。
 山上さんは大阪の出身。大阪でのサラリーマン時代はマーケティングにも携わっていたこともあり、商品の流通や消費者のニーズに関してはお手のものだった。つまり、2次の外注化と、その後の販売に関しては頭の中にある程度イメージできていた。

手ごたえ
 商品開発が始まったのは昨年の秋。それから試作品ができあがるまでは僅かの期間だった。日本醤油の開発技術力はレベルが高く、スピーディーに進めてくれたという。試作品ができると生産者はじめ関係者で試食をしたところ、味の完成度は最初から高かったので修正なく完成品となった。早速、札幌ファクトリーで開催されたイベントで試験販売を行ったところ、予想を超える売れ行きだった。当初は今年の5月連休から本格的に販売する予定だったが、道の駅でもコンスタントに売れ、ほぼ完売状態になった。1本630円とドレッシングとしては高い価格にも関わらず、ゆり根の高級感と初めての味に消費者は反応した。

野菜で野菜を食べる…スードレ
 商品名は「スードレ」。スープ・ドレッシングをアレンジし、ネーミング化した。ドレッシングとしての本来の使い方のみならず、牛乳と合わせてスープとして楽しんだり、ディップソース感覚で、これまでにない食べ方ができる。ドレッシングにすることで、これまでの高級食材としての販路だけではなく、日常の食卓に登場する食材として楽しんでもらい、それがゆり根の新たな販路になることで、村に様々なかたちで還元される。
 スードレは、おいしい野菜を新鮮な野菜にかけて食べるという、これまでにない発想。しかもゆり根は贅沢感も味わえる。地元でもっと消費される食材になって欲しいという願いもある。

楽しみながら村をピーアール
 山上さんはこれまでに「アスうま選手権」「うまコーン選手権」「MKP総選挙」「札幌ゆりんピック」(各種野菜の食べ比べ選手権)など村の特産品をピーアールするイベントを仕掛けてきた。生産者も消費者も両方楽しみながら農産品をピーアールするという真狩村独自のやり方だ。これらは、真狩村のアイデアマンたちから出てくるたくさんのアイデアを、山上さんが交通整理しカタチにしたものだ。
 今後もゆり根に関しては、まだまだ仕掛けていきたいという。楽しみにしたい。

真狩村道の駅管理組合
〒045-1611 北海道虻田郡真狩村光8-3
TEL(0136)48-2222 FAX(0136)48-2223
E-mail:makkari.st@wine.plala.or.jp
URL:http://www.hokkaido-michinoeki.jp/data/89/each.htm
*スードレは道の駅真狩フラワーセンター内売店、旭川の日本醤油工業樺シ営店で販売しています。1本630円。