自然資本
3月6日祝津旧青山別邸貴賓館にて末吉竹二郎氏の「世界からの視点で日本を見つめる 環境オピニオンリーダー」と題して講演会が開催された。
世界環境の最前線で活躍される末吉氏のお話は、驚きの現実を如実に教えてくれた。その中で「自然資本」という新たな概念を提起された。
たとえば企業会計では、単純に収入から支出を差し引き利益が算出されるが、この会計概念では自然への負荷が無視されている。つまり企業活動の中には「水を使う」「空気を汚す」などの自然への負荷が間違いなくあるが、これは全く数字には反映されず無視されてきた。この負荷分を金額にして支出に計上するという考え方が自然資本だという。企業から徴収された自然資本を環境復興に回すことによって持続可能な環境維持と企業活動になるという。
設備にはその老朽化へのリスクをまかなう減価償却が認められているのに、自然には認められていない。地球環境がおかしくなれば企業活動どころではないのだから、世界共通の大事な概念だ。
仮に「環境税」の名で徴収しても、その使い道を一国に限定できるものでもない。環境には国境がないからだ。
実に考えさせられる問題提起である。
歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和