間と待つ
ビートたけし著『間抜けの構造』を読んだ。間の悪い奴、漫才における間、間の好きな日本人、人生は生と死の間など「間」について多く記されている。なるほど間か、おもしろい視点だと思った。全ての現象に間という概念を添えることによって、科学的・政治的・経済的合理性で考えるより納得がいく。そもそも納得しようとする心の構造に間がないということかもしれない。
以前、緒方拳と串田和美の二人の演劇『ゴドーを待ちながら』を見た。ただただゴドーという何かを待っている二人の心の動きを表現する内容だ。「待つ」という生物に共通する本能をテーマとしている。
照らして考えると、「間」と「間でないもの」の切り替えスイッチのような行為こそが「待つ」ことなのかもしれない。
歴史文化研究所
副代表理事・編集人 石井 伸和