小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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意匠(35)

冬路地


横丁と路地
 むかし花柳界、いま歓楽街。客層のほとんどが男。百貨店はもとよりファッション関連のショッピングゾーンの客層の75%が女。モノよりコトの男、コトよりモノの女、モノで飾る女というコトに男が群れると思えば合点がいく。
 さて、今日の雑居ビルはいかにも合理的で整然としているが、横丁や路地がますます失われていく。立小便の跡、煙草の吸い殻、戻した食物は決して美しくもなく健康的でもないが、動物性が封印されつつある。
 横丁や路地にある荒んだ自由は下心さえ恥じることなく当たり前。雑居ビルでの隠された自由は浮ついた心さえ恥ずかしく、酒はなんのためにあるのかさえ泡沫と帰す。
 不易流行は世の常だが、形が変わり過ぎると、あるいは変わる速度が高いほど、本質の嘆きを代弁したくなる。

冬路地
 道の譲り合いにはじまり、入口の段差に気を遣い、扉を開けたときの寒暖の格差にして既に酔う。ひとしお酔いを深めたなら、防寒賄いよろしく、お帰りの際は千鳥足厳禁にして、酔客用タクシーに滑り込む。行き先を申告した跡は、夢心地で出際に聞こえたメロディが頭で反復する。
 このあっけない散財からタクシーの釣り銭を翌日眺めて、催す後悔を差し引いて「まあいいか」と寛大さを装う。これをブルースという。
 この「まあいいか」とする冬路地が小樽にはまだある。