小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top
alwHOMEalw読んでみるalw文化素材(14)

文化素材(14)

時代の境目


時代の波
 現在のこの国は大きな境目にある。今日の我々に共通する悩みは、「新たな文化があれば」という前向きなものより「お金があれば」であることはいうまでもないように、いわゆる経済のありようが大きく変化しようとしている。この稿は文化素材であるが、経済のありようによって文化も左右されることから、経済の変わりようを考えてみたい。

ピークと今日
 アジアではいち早く近代化に成功し、高度経済成長を果たし、欧米先進国に肩を並べる経済力を身につけたこの国は、1990年を成長度のピークから右肩下がりにある。高度成長期に全企業の8割が黒字であったのが、今日では7割以上が赤字となり、いわゆる成熟社会の領域に頭の先をいれた形だ。
 したがって、既存産業は自らが培った技術やノウハウを、新たな市場開発に活かせないかというコアコンピタンスに頭を悩ませている。新たな市場には新たなビジネスモデルが必要だ。大企業では若いスタッフが、中小企業では社長自らがこのビジネスモデルについて悩んでいる。

ノマドワーカー
 新たな市場開発には新たなビジネスモデル、新たなビジネスモデルには新たなビジネススタイルという意味で、最近ではノマドワーカーが湧出している。彼らは、あるいは彼女らは既存産業の変革のお手伝いをする。新規にスタッフを雇うより、山のものとも海のものとも見えずアテにならない新たなビジネスモデルを構築するのに、実に適した媒介である。かつて余裕のある大きな会社にはブラブラ社員なるものもいたが、そんな余裕は今はない。

文化経済
 冒頭から経済と文化を切り離して書いているが、この変革期にこそ、文化と経済を融合した文化経済があってもいい。そこで小樽を観てみよう。観光こそが文化経済の立派な証拠である。文化のない観光はありえない。しかし文化はいかにも金にならないと思われがちだが、たとえばレトロでファンタジーでスローな小樽が観光客を誘引しても、金が落ちるのは宿泊先や飲食店や土産物屋である。この場合、レトロでファンタジーでスローなイメージはまさしく小樽文化だ。とはいえ宿泊先の建物文化、飲食店の食文化、土産物屋の商品文化もまた立派な文化といえる。なぜなら小樽にしかないからだ。

文化経済の波及
 写真屋が小樽にしかない景色を撮り、リフォーム屋が小樽の歴史的建造物を活かした改築技術を持ち、出版屋が小樽の文化を深掘りした内容を編み、タクシー屋がとっておきの小樽観光コースをこしらえるなどは、全て文化経済といえる。
 これらの業種のこれまで生業は都市文明を地方に普及させる役割を担っていたが、この既存性から脱却して文化経済の領域をつくることもあっていい。
 これらの模索から、新たな資源が注目され、時代に受け入れられたときが、新たな地域産業になる。

写真
 たとえば本誌inspirationで取り上げさせていただいている写真家、浜田剛臣氏、佐藤通晃氏、川嶋王志氏らの写真は、小樽に住むという特権を活かし、吹雪の中も猛暑の中も颯爽と駆け回って、感性ある景色をファインダーにおさめておられる。明日は相当積もると思えば夜明けには現場のシーンを切り取る。東京からわざわざ来なくてもいい。