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観光学(47) 観光を読む

日本人の暮らしはベターライフか?
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



先進国クラブ
 昨年末に安倍内閣がスタートしてから東京市場の平均株価が急騰し、円相場も円安が進んでおり、日本経済再生への期待が高まっている。今後、安倍首相の提唱する「アベノミクス」と呼ばれる経済政策(金融緩和、財政出動、成長戦略)によって、企業収益が向上し、雇用増と賃金上昇が実現して、個人消費が活性化するならば日本経済の再生が可能になるだろう。
 日本のみならず、米国も欧州諸国も経済低迷に苦しんでいる。「先進国クラブ」と呼ばれる国際機関が1961年にパリに本部を置いて設立された。正式名称は経済協力開発機構(OECD)で、国際経済全般について協議することを目的にして設立されており、現在の加盟国は34カ国。48年に創設された欧州経済協力機構(OEEC)がベースになっているために欧州諸国が24カ国で、他に米国、カナダ、メキシコ、チリ、トルコ、イスラエル、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本。いわゆるBRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)はまだ加盟していない。

より良い暮らし指標
 経済協力開発機構(OECD)は昨年「より良い暮らし指標(Better Life Index)」を公表した。これは「住宅」「収入」「雇用」「コミュニティ」「教育」「環境」「ガバナンス」「健康」「生活満足度」「安全」「ワークライフバランス」の十一分野の指標にもとづいて、加盟各国の「幸福度(well-being)」を測るものである。
 昨年公表された「より良い暮らし指標」の総合ランキングでは加盟34カ国+ロシアとブラジルの36カ国のうち、第1位がオーストラリア、以下順に、ノルウェイ、米国、スウェーデン、デンマーク、カナダ、スイス、オランダ、ニュージーランド、ルクセンブルグ、フィンランド、英国、アイスランド、ベルギー、アイルランド、オーストリア、ドイツ、フランス、スペイン、スロベニアで、日本は第21位に位置づけられている。
 ベストテンの上位国では、「生活満足度」「コミュニティ」「ガバナンス」「健康」「ワークライフバランス」などの指標が高く評価されている。日本の場合には、「安全」が1位、「教育」が2位、「収入」が6位であるが、「ワークライフバランス」が34位、「健康」が29位、「生活満足度」が27位という評価になっている。

経済再生と経世済民
 ベターライフのためには「収入」や「安全」も重要であるが、「ワークライフバランス」や「健康」や「生活満足度」も重要である。日本の場合には、「健康」分野の「平均寿命」は1位であるが、「自己申告健康度」は36位で最下位となっている。要するに日本では長生きはできるが、高齢期の生活の質に問題があり、生活不安が伴っているために「生活満足度」が低くなっているわけである。「ワークライフバランス」についても、日本ではすでに2007年に政府、地方公共団体、経済界、労働界の合意にもとづいて「ワークライフバランス憲章」が策定され、様々な取り組みがなされているが、全く効果を挙げていない。
 現在の日本では「経済再生」だけが論議されており、「日本人のベターライフ再生」が全く問題にされていないが、本来はより良い暮らしの再生こそが「経世済民」の基本でなければならない。