小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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帰化人(39) 小樽こだわりのライフスタイル

ないものねだりするより、あるものさがしを
宮ア 義久 氏
小樽商科大学商学部地域研究会学術研究員 経済学博士
〒047-8501 小樽市緑3-5-21
TEL 0134-27-5482
FAX 0134-27-5483



帰化経緯
 昭和56年宮城県仙台市生まれの宮ア氏は、群馬県の高崎経済大学経済学部で「世界経済論」を専攻し、FTA(自由貿易協定)をめぐる問題を研究する中で、日本の農業問題を契機にして世界から地域の問題へとテーマを180度変えるに至る。いやむしろ"Think Globally, Act Locally"(グローバルな視野で考え、身近な地域で行動する)と言った方が正しい。「地域の自立を実現・維持する方向にのみ議論を収斂するのではなく、グローバル経済への対応についても同時に考える」ということ。
 平成17年に北海道大学大学院経済学研究科修士課程に入学し、博士後期課程を経て、本年4月より「小樽商科大学地域研究会」に赴任。地域研究会は、「グローバリズムと地域経済」を研究テーマとし平成21年度に設置された組織で、北海道経済の再生に向けた提言を目標とする研究拠点である。
 宮ア氏はこの組織の学術研究員として勤務し、「これまでの経験を活かし、全力で研究に打ち込める機会を得ることができた」と語る。

地域通貨
 かくいう宮ア氏の研究テーマは「地域通貨」である。地域通貨といえば、あたかもママゴトのような印象を持たれるかもしれないが「そうではありません。貨幣制度やコミュニティが崩壊の危機に瀕したとき、地域通貨のような取り組みが世界各国で登場しました。経済的には、従来の貨幣制度を地域通貨が代替または補完する役割を持っています。さらに、地域社会が持続的な発展に向かうための新たな指針を提供します。また、社会的には、地域通貨は従来のお金に対するイメージを払拭し、労働や商品・サービスの御礼として感謝の気持ちを表現するためのツールと捉えられます。このような地域通貨が描くヴィジョンに可能性を感じます」と実に明快に地域通貨の発想と展開を紐解いてくれる。
「私は、地域通貨を媒介することによって、地域社会の持続的かつ内発的な発展を促すプロセスについて解明したいと考えています。地域社会にはお金に換算することが難しい地域資源にあふれています。これらの潜在的な価値を顕在化させ、ボトムアップ的につなげる機能を地域通貨は果たしうるのです。ないものねだりするより、あるものさがしをするということですね。」

小樽でのシミュレーション
「もちろん、地域通貨は万能薬ではありません。小樽のようにボランティアによる市民活動の多い地域は全国的に見ても非常に珍しいです。この地域で地域通貨がどのように普及し発展していくのかじっくり見極めていきたいです。本来、無償行為と考えられていたボランティア活動の御礼に地域通貨を配布することで人々の価値観や行動などにどのような変化が生じるのかを検証し、地域通貨の可能性と課題を浮かび上がらせます。」
 今日ではほとんど姿を消したが寸志という風習が日本にある。価格が決められてお金を要求されている訳ではないが、感謝の気持ちを包む行為だ。この経験と実感が地域通貨の出発点なのかもしれない。

地域通貨の展望と限界
「たとえば学生が独居老人の家の除雪をしたとします。老人は感謝の気持ちとして地域通貨をボランティアに、今度はこの学生たちが勉強をするために先生を呼んで学ぶ機会を設け、先生には地域通貨で、先生は、シンポジウムを開催する際、会場設営に学生に地域通貨を渡します。このように、すべての人々の潜在的なニーズをつなぐツールとして地域通貨は機能し回遊します。これらは地域通貨を基盤として構築されたネットワークです。次に、地域通貨を使える分野が実体経済まで広がると、A食堂で食事、B店で買い物、C館の入場料などにも使えるようになります。このように地域通貨の利用範囲が広がると様々な矛盾や問題も生まれてきます。この議論はまだまだ未成熟ですが、地域通貨が実体経済に及ぼす影響を精査し,地域の活性化につながることを明らかにしたいです。」
 宮ア氏の研究を支援する小樽であってほしいと願う。