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観光学(40) 観光を読む

日中関係と北海道観光
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



日中関係と米中関係
 民主党政権の成立以後に、日中関係のぎくしゃくが続いている。中国漁船による領海侵犯事件、尖閣諸島をめぐる領有問題、中国大使館員によるスパイ容疑事件など、本来友好な関係を継続すべき日中間でぎくしゃくが続いているのは真に残念なことだ。
 今年は日中国交正常化40周年に当たるので、各地で記念行事が開催されている。日中両国は、1972年9月29日に北京で当時の田中角栄首相と周恩来首相が共同声明で国交正常化を宣言した。
 実はその前年(1971年)に米国のキッシンジャー国務長官が北京を極秘訪問し、続いて1972年2月にニクソン大統領が中国を訪問して、中国をパートナーとした「新しい東アジア秩序の形成」への動きを鮮明にした。いわゆる「ニクソン・ショック」によって、日本抜きの東アジア新秩序構想が現実化したことを受けて、当時の田中角栄首相は米国の先手を取って日中国交正常化を決断し、異例の早さで日中共同声明に持ち込んだのであった。

日中の深い関係
 日本は中国から数多くのことを学んでいる。今から2,300年ぐらい前に、中国から稲作農耕を学びとるとともに、鉄器文化、漢字文化、仏教などを学びとることによって古代国家を成立させ、それ以後の発展の礎を固めた。そういう意味で、日本はもっと中国に対して謝意と敬意を払う必要がある。
 ところが、日本は明治維新によって国を開いたさいに帝国主義という時代の荒波が押し寄せてきたために近代西洋文明を巧みに修得しながら、富国強兵(産業立国と軍事立国)政策を強力に押し進めて中国大陸に進出し、日中は不幸な関係に陥った。そして、1972年に国交が正常化され、今日に至っている。
 19世紀は「欧州の世紀」、20世紀は「米国の世紀」、21世紀は「アジアの世紀」と言われているが、今後はとくに中国がアジアの盟主として君臨する可能性が高い。日本は今後、米国と中国という二大強国の狭間でしたたかな国際関係の形成を図らねばならない。

北海道と日中関係
 北海道は、1980年に在札幌中国総領事館が開設されて以降、中国との交流を深めてきた。1980年11月に札幌市と遼寧省瀋陽市、1986年6月に北海道と黒竜江省がそれぞれ友好提携を結ぶなど、多くの自治体が提携を行い、文化やスポーツの交流などを進めてきた。
 近年はとくに観光面での日中関係が深まってきている。昨年、中国人の外国旅行者数は6,400万人に達したと言われており、2015年には中国人だけで約1億人が外国旅行を行うと予測されている。まさに中国人による観光ビッグバンが現実化してきている。今後、アジアでもLCC(格安航空)が隆盛化するので、北海道に数多くの中国人が来訪することは確実である。
 今年6月に札幌で日中国交正常化の記念フォーラムが開催され、地域間の市民交流の大切さについて議論されたのは有益であった。今後、中国人に対する北海道観光プロモーションを図るに当たって、中国人のニーズを的確に把握することが重要であり、観光マーケティングを強化するとともに、地域における民産官学の協働による観光振興に力を入れて、観光のパワーで北海道の未来を拓くことが期待されている。