小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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文化素材(2)

堺町


小樽の観光施設
 平成24年1月、小樽の観光ゾーンとして賑わっている地区の観光施設を踏査してみた。入船本通り札幌側12軒、入船本通り余市側2軒、堺町郵便局小路4軒、堺町山側53軒、堺町海側55軒、臨港線山側31軒、臨港線海側5軒、運河沿線山側17軒、運河沿線海側20軒、色内大通20軒、北浜16軒、寿司屋通り28軒、合計で263軒ある。このうち食品関連は162軒で61・6%を占め、うち寿司店36軒、スイーツ16軒、また硝子16軒、オルゴール5軒となり、小樽の観光施設は食では寿司とスイーツ、クラフトでは硝子とオルゴールが核をなしていることが見えてくる。この密集は昭和58年以来立地されたもので、約30年間の出来事だ。

堺町
 堺町は、狭義(通り両側)の堺町通り108軒で41%を占め、広義(メルヘン交差点周辺・運河ターミナルまで)で130軒で49・4%を占めるから観光地区の約半数が密集。その突破口は昭和58年北一硝子三号館で、以下、昭和63年小樽オルゴール堂、北一ヴェネツィア美術館、平成3年小樽大正硝子館、平成4年からくり動物園、ホクレンふうど館、平成6年小樽オルゴール堂2号館、銀の鐘、蒸気時計、平成10年洋菓子舗ルタオ、平成11年スーベニールオタルカンの立地により加速されてきた。
 この一気呵成の密集はなぜ堺町だったのか、言うまでもなく、運河に近いストリートであり、しかも再利用可能な歴史的建造物が密集していたからに他ならない。108軒のうち53軒と約半分が歴史的建造物再利用(うち8軒が市指定 表2)に該当する。
 これら観光施設の林立から小樽市は、法律である都市計画法に則り、「堺町周辺地区計画」を平成6年に制定し資料1の規制を敷いた。因みに違反した計画の場合、「確認申請」で弾かれる強制力を持っている。加えて平成9年には市道である堺町通りが一方通行化され、平成11年には歩道整備が施される。こうして堺町はまさに小樽観光のメッカになってきた。

堺町の歴史的背景
 港から開拓され、後背地が山であった小樽の数少ない平地が堺町であったことから、ここにありとあらゆる商業(卸売業)の発祥拠点がおかれていくことになった。(表1)
 これら堺町を舞台に記録された内容から、小樽における様々な先駆け(嚆矢)の物語が誕生したことがわかる。堺町は小樽の経済や都市機能を醸造してきた登竜門といった位置づけを歴史的にもっている。

堺町文化
 天然の港があった故に開拓され、近代化の波故にビジネスチャンスの街となり、そのおかげで多くの立派な社屋が建てられ、これが偶然戦災からも免れ、おまけに高度経済成長に乗り遅れたためにスクラップ&ビルドの洗礼も受けずに残り、さらには運河保存運動が歴史環境保存運動に拡大し、ついには地方主権時代を迎えて地域の個性に目を付けた多くの観光投資が下されてきたのが堺町である。
 まるで導かれるように歴史的アクロバットをくぐり抜けてきた。本誌31号「比較論」で東京を見たとき、浅草・渋谷・新宿・六本木などが地区文化を発信してきたことを記したが、小樽の堺町もまた歴史的建造物再利用文化を発信している。これからは商業や観光の生業とともに小樽にどんな文化を育んでいくかが楽しみだ。

表1
明治4年
 量徳・港・堺・有幌・若竹の各町設置(堺町の誕生)
明治15年1月
 有幌町に相場会所新築開設(小樽商工会議所の起点)
明治20年
 金子元三郎商店設置(現・瑠璃工房)
明治24年4月
 北門新報社「北門新報」発刊(小樽の新聞の嚆矢)
明治24年10月
 今井支店開業(丸井デパートの前身)
明治24年
 木村倉庫落成(現・北一硝子三号館)
明治26年
 第百十三国立銀行開業(銀行の嚆矢 現・海鳴楼)
明治29年9月
 魁陽亭は新築開業(料亭の嚆矢)
明治29年11月
 青柳栄造の堺町海岸900余坪の埋立竣工(埋立工事の嚆矢)
明治29年12月
 堺町の岩永時計舗開業(時計店の嚆矢)
明治30年7月
 百十三銀行小樽支店は披露宴開催(現・浪漫館)
明治39年
 名取高三郎商店設置(現・小樽大正硝子館)
明治40年
 久保商店開業(現・さかい家)
明治40年
 北海雑穀営業所設置(現・光と香りの館)
明治40年8月
 稲積倉庫開業(現・ふじ寿司店舗)
明治41年
 百十三銀行開業(現・浪漫館)
明治44年
 広海二三郎商店は木骨石造の商店事務所を設置
(現・瑠璃工房)
明治45年
 共成新社屋落成(現・小樽オルゴール堂)
明治45年6月
 堺町の妙竜寺向かいに土俵設置(相撲土俵の嚆矢)
明治45年7月
 中越銀行は港町1に小樽支店設置(現・銀の鐘大正13年現店舗)
大正10年
 堺町舗道完成、開通式挙行
大正11年
 三菱銀行開業(現・小樽運河ターミナル)
大正12年
 北海道拓殖銀行設置(現・ホテルヴィブラント)
大正12年
 小樽運河完成
大正15年
 戸出物産開設(現・スーベニールオタルカン)
昭和9年
 寿原産業鳳星寮(現・IAI)

<『小樽歴史年表』より抜粋>

表2 堺町の市指定歴史的建造物
・第百十三国立銀行小樽支店(現・海鳴楼) 明治26年
・岩永時計店(現・同様) 明治29年
・木村倉庫(現・北一硝子三号館) 明治24年
・百十三銀行小樽支店(現・浪漫館) 明治41年
・久保商店(現・さかい家) 明治40年
・金子元三郎商店(現・瑠璃工房) 明治20年
・中越銀行小樽支店(現・銀の鐘) 大正13年
・戸出物産小樽支店(現・スーベニールオタルカン) 大正15年

資料1 堺町周辺地区計画
 次の各号に掲げる建築物は、建築してはならない。
(1)‌ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第1項第7号、第8号及び第4項に規定する「風俗関連営業」に該当するもの
(2) ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場及びバッティング練習場用その他これらに類するもの
(3) カラオケボックスその他これらに類するもの
(4) 射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場その他これらに類するもの

・建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合の最高限度:10分の20 (山側のみ)
・建築物等の高さの最高限度:25メートル
・建築物及び屋外広告物の形態又は意匠:
 建築物の外観・色彩及び屋外広告物の形態については、良好な都市景観の形成に調和したものとする。また、屋外広告物については、自家用広告 物以外(電柱広告物は除く。)及び、屋上広告物は設置してはならない。ただし、 市長が良好な都市景観の形成に支障がないと認めたものにあってはこの限りではない。