小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
bg_top
alwHOMEalw読んでみるalw地産(16) 後志でなにが生産されているの

地産(16) 後志でなにが生産されているの

たつかま(たちかま)
尾崎商店
代表  尾崎 修 氏



たつかまの誕生
 西積丹に位置する岩内町は、かつて鰊漁で栄えた町。その鰊漁も終息をむかえた頃、新たな漁としてスケソウダラ(以下スケソ)の延縄漁がはじまった。「たつ」とはスケソの白子のことをいい、一般には「たち」というが地元では「たつ」と言われている。
 岩内町は昔から水産加工が盛んな町で、スケソの子は「タラコ」として希少価値があったが、白子は傷みやすいため廃棄されたり、タダ同然で取引されていた。しかし捨てられるのは勿体ないので、新鮮な白子が手に入った時は各家庭で蒲鉾にし、庶民の保存食として冬の間食べられていた。それが「たつかま」といわれ、今では冬の郷土食となっている。
 蒲鉾作りの技術はかつて日本海を北前船が往来していたころ、北陸地方から伝わった技術ではないかといわれている。その技術は岩内町の一般家庭でも知られていたため、たつかま作りにも応用されたのではないかという。

尾崎商店
 尾崎商店は元々、先代が鮮魚卸業として始めた店。たつかまは、鮮魚卸のかたわら最初から作っていたが、昭和28年、本格的にたつかまを製品として製造するようになる。一般の蒲鉾製造ではなく、たつかま専門で始めたという。
 大手の水産加工場が製造しない理由は、途方もなく時間と手間がかかる割には大量に製造できないことにある。今も岩内町内でたつかまを製造しているのは尾崎商店を含め2軒のみ。
 現在の尾崎商店は食品、雑貨店として営業し、店の裏側がたつかま製造場となっている。原料の入荷する11月から3月までが製造期間。原料が入荷できる場合は休みなしで製造する。

製品開発
 原料の白子は、水揚げされて間もない新鮮なスケソを仕入れた町内の水産加工会社から主に納入される。尾崎さんがこだわるのは、信頼できる水産加工会社。長年のおつきあいで尾崎さんが好む白子を選別し納入してくれるという。たつかま作りは、鮮度が良くないとうまく固まらないため、使われる白子は獲れてからすぐに加工場で処理されたものが望ましいという。鮮度は信頼関係と比例する。

手作り
 作業手順を紹介する。
 まずは新鮮な白子を選別することから始まる。未熟な白子は除け、良いものだけを選び、手作業で丁寧に汚れを除いていく。これを大きな鉄鍋で茹で揚げる。この白子を茹で揚げる工程が難しいと言う。白子の状態を見ながら煮え過ぎると表面がでこぼこして、なめらかさがなくなり、茹で時間が短いと製品にして煮物などにしたとき、かたちが崩れてしまうという。
 茹でた白子は裏ごしされ、石臼で練り上げていくが、ここからは経験と勘がものをいう。一般にたつかまを作る時は塩やデンプンを入れて練るが、その日の白子の状態や気温などで分量や練る時間が微妙に異なるという。因みに、塩やデンプンは味付けではなく白子を固める役割として入れる。もちろん、防腐剤、添加物、合成化学調味料は一切使用しない。
 練り上がったものは、つきたての餅のようにものすごい弾力が出る。この時の手触りでよく練り上げられたものかどうかを判断する。練り上がった生地はすぐに球状に丸くちぎりながら鉄鍋の湯の中で茹でられる。鮮度を保ったまま湯の中に入れなければならないので、素早く作業することが肝心だ。
 ここからも尾崎さんは目の離せない作業が続く。火加減をみながら、茹で揚がるタイミングを待つ。茹で過ぎると表面が割れてしまい製品にならない。また、茹で時間が短いとモチモチ感が足りないなど、鍋から揚げるタイミングは経験がものをいう。茹で揚がったものはすぐに冷水にさらして塩抜きをし、最後は氷水でしめて完成となる。ここまでは一度も休むことのできない工程だ。100s前後の材料を製品にするには、朝早くから作業に入り、午後の2時、3時までかかる。

今では希少価値
 11月からの製造シーズンを迎えると、店頭に並ぶ間もなく売れていく。予約販売や地方送り、町内飲食店、スーパーなどが買い求め、簡単には手に入らない状態だ。しかし、手作りのため、これ以上製造量を増やすことは不可能である。心待ちにしてお店に来て購入できなかったお客様には申し訳ないと尾崎さんはいう。
 冬の岩内を代表する郷土食「たつかま」。薄くスライスし、わさび醤油で食べるのが一般的だが、バターで焼いたり、鍋に入れたりと楽しみ方もいろいろ。淡泊で独特の食感を一度味わってみては。

尾崎商店
〒045-0012 岩内町宮園251-9
TEL 0135-62-0596 FAX 0135-63-0596
*道道66号線ニセコパノラマライン沿い。協会病院から岩内高校方面とニセコ方面への交差点を左折し100m位。駐車場有。
*製造期間は11月〜3月まで。シケで原料が入荷しない場合は製造しません。
*お店を訪ねても、売り切れの場合がありますので、事前にご確認ください。
*購入希望の方は尾崎商店へFAXでお申し込みください。送料等はご確認ください。