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観光学(29) 観光を読む

LCCによる観光ビッグバン
北海道大学 観光学高等研究センター
センター長・教授 石森 秀三



LCCと観光ビッグバン
 私は20年ほど前に「2010年代のアジアで観光ビッグバンが起こる」という予測を行った。その予測は的中し、アジア諸国で観光大爆発が起こっている。その背景にはアジア諸国における経済成長が顕著に見られる。国民所得が上昇する中で観光旅行に出掛ける人が増えている。
 いま世界的にLCC(格安航空会社)が大活躍している。欧米諸国ではすでに航空旅客の約三割がLCCによって運ばれている。LCCはさまざまなコスト削減に励んで航空料金の低廉化を実現しており、数多くの旅客を獲得している。
 2006年における国際航空旅客数ランキングで第一位になったのはライアンエアだった。この会社はアイルランドのLCCで、第二位以下のルフトハンザ航空、エールフランス、英国航空、KLMなど、各国を代表する一流航空会社を凌駕して世界ナンバーワンになった。
 アジアでもLCCが大活躍している。アジアでナンバーワンのLCCはマレーシアのエアアジアで、すでに年間に二千三百万人の旅客を運んでいる。エアアジアは今年七月にエアバス社のA320neo型ジェット機を300機購入することを発表している。総額で270億ドルにおよぶ巨額経費を投入して事業拡大を図る予定だ。
 全日本空輸はすでに関西空港を拠点に来年3月から運航を開始するピーチ・アビエーションと名付けるLCCを設立している。その全日空はエアアジアとの共同出資で「エアアジア・ジャパン」というLCCをスタートさせ、来年8月から成田空港を拠点にして国内線と国際線に就航する予定である。

低価格旅行の時代
 日本にもすでにアジア各国のLCCが就航している。韓国のチェジュ航空、エアプサン、ジンエアー、イースター航空、中国の春秋航空、マレーシアのエアアジアX、シンガポールのジェットスター・アジア航空、フィリピンのセブ・パシフィック航空などだ。
 新千歳空港にも、韓国のイースター航空がすでに今年5月から乗り入れており、7月からはジンエアーがソウルとの間で毎週2往復の定期便を飛ばしている。ゴルフやスキーなどのために北海道を訪れる韓国人客の増加を見込んでいる。
 世界的に観光ニーズは二極化が進んでいる。要するにローコスト・トラベル(低価格旅行)とラグジュアリー・トラベル(富裕旅行)という二極化だ。LCCは低価格旅行の隆盛化を後押ししており、観光ビッグバンの起爆剤になっている。
 北海道の各空港へのLCC就航が期待されている。大きな変化が予測される中で、北海道の各地域は観光を基軸にした地域活性化と真剣に向き合うことが求められている。