小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

ゼロ


 前々(26)号でゼロについて書いた。ありがたいことに読者の方からお便りで、仏教におけるゼロという発見の貴重さのご示唆をいただき、東洋と西洋の考え方の違いをゼロという概念を手掛かりに振り返ってみた。
 プラスとマイナスの境目にゼロがあるが、東洋ではゼロ(空)こそが還るべきところ、いわゆる「無に帰す」とされ、色形あるものは全て仮の姿、人間も例外ではない。そこから潔さという美学が生まれはしたが、一方でその潔さに阻まれ、将来を設計するビジョンを描くことが不得手だ。たとえば社会的なビジョンは政治家の義務であるのに、今日では誰一人それを語れる人がいない。
 いっぽう西洋ではプラスの下は即マイナス、そう考えるとマイナスは死活問題だから必死でプラス思考が働く、そこに将来ビジョンの豊かさが芽生える。
 東洋の考え方に興味を抱き、島根県に帰化したアイルランド人ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、これに感づいたかどうか。


歴史文化研究所
 副代表理事・編集人 石井 伸和