小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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比較論(16)

サンフランシスコと小樽


定住契機の相似
 アメリカの西海岸カリフォルニア州の都市サンフランシスコは、1840年代後期のゴールドラッシュを契機として、以後多くの移民が定住した。北海道西海岸の小樽がニシンラッシュによって1860年代からから移住者が増えたことに似ている。

地形の相似
 サンフランシスコは半島の先端に位置し、海に囲まれ50以上の丘を持つ坂の街であるのに似て、三方を山に囲まれ海に面した小樽もまた坂の街だ。
 カリフォルニア州の州都はサクラメントであるにせよ、同州の南に位置するロスアンジェルスはアメリカ第二位の大都市という構図も、小樽と札幌の構図とよく似ている。

フィッシャーマンズワーフ
 サンフランシスコにあるフィシャーマンズワーフというウオーターフロント再開発は、小樽運河保存のモデルとして多くの憧憬を集めた。坂道を下るオープンでカジュアルなケーブルカーの終点がフィシャーマンズワーフといわれる一帯で、波止場や工場を工房やショッピング街やミュージアムに再活用している。
 ところどころのパラソルやベンチでは名物のカニをワイルドに頬張る風情は、札幌大通公園のトウキビにも似ている。
 移民で成り立つところに気取りがなく、誰もが自然にフレンドリーな挨拶が交差する。
 この「ハーイ」というフレンドリーな挨拶習慣は、小樽に最も必要とされる「交流」の契機とも思われる。

陽光のサンフランシスコ
 サンフランシスコほど陽光に似合う街はないといえるほど、陽光は彼らの生活に溶け込んでいる。
 そもそも「無神経な陽気さ」と伝統や品格を重んじるヨーロッパからなじなれるアメリカ気質、あるいは中国が重んじる「借景」の小細工すら見あたらないアメリカ気質、このオープンで飾りのない交流から全ての文化と文明を発信してきた。まさに陽光をふんだんに吸い込んだ空気がそこにある。

アンニュイな小樽?
 小樽もかつて物流基地として発展した歴史から「無神経な陽気さ」は地に足の付いた精神風土だ。日中は荷物の運びで流れ作業、夜は芸者をあげてドンチャン騒ぎというサイクルに、かの石川啄木は「かなしきは小樽の町よ 歌ふことなき人々の声の荒さよ」と嘆くのも無理からぬ。
 ところが斜陽といわれはじめる頃から小樽にはアンニュイ(倦怠)感が漂い出す。町の誕生も地形も気質も似ているサンフランシスコとの分かれ目がどうやらここにある。
 もちろんサンフランシスコと同様に、再利用して光源を放つ堺町は別として、多くの歴史的環境が歴史的なまま放置され、ここにサンフランシスコにない雪に覆われるとアンニュイがさらに助長される。
 とすれば、小樽のアイデンティティは「雪に似合うアンニュイ」ともいえそうだ。