小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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地産(8) 後志でなにが生産されているの

ドイツパン
奥土農場 代表 奥土 盛久氏


奥土氏と息子さん
奥土氏と息子さん

奥土農場
 秀峰羊蹄山を真近に見上げ、澄んだ空気、そして降りそそぐ太陽の光で残雪が眩しい。それがニセコ町近藤地区。ここは今、たくさんのオーストラリア人が滞在するひらふスキー場とは国道5号線を挟んで反対側の静かな一画。ニセコ道の駅より真狩方面へ少し入った所。その、なだらかな丘陵地帯に奥土農場はある。羊蹄山の麓に店舗兼パン工房、住宅、農場が広がる。
 代表の奥土氏は神戸生まれ。昭和48年、大学卒業後、農業と酪農を勉強するためドイツへ渡る。ドイツで3年間学び、昭和51年に帰国の際、北アフリカからシルクロードを通り、半年かけて旅をしながら日本へ帰ってきた。

占冠村ニニウからニセコへ
 帰国後、北海道で入植者の受け入れがあり占冠村ニニウで農業を始める。当時の占冠村は道路に信号機もない時代。ニニウはさらに奥まった地域で熊の出没も頻繁だったという。牛を飼う他、生活のためにジャガイモ、とうもろこし、かぼちゃ、椎茸栽培で生計を立てていた。ニニウで約15年暮らしていたが、ドイツで見てきた酪農と農業が一体となった暮らしを実現するため、現在のニセコ町近藤地区へ移住した。

そもそもパン作りは妻
 奥土農場のパンのルーツはドイツにある。奥土氏が子供の頃暮らしていた神戸には、北野地区に異人館街があり、そこにはドイツ人も居住していた。その彼らが焼いたライ麦パンの味を記憶していたことと、ドイツで暮らした時に食べたパンの味。これが今の味の原点となっている。
 そもそもパン作りは基礎知識のあった妻の敦子さんの得意分野で、現在地に移住して来た時に家の庭に自家用の小さな石窯を作ったのが始まり。友人から窯の作り方を教わり、畑から出た石を積んで作った。農業を主としていた奥土氏にとって、パンはあくまで自家用であった。

農業とパン…自分で栽培したライ麦
 パン好きの敦子さんにとって石窯で焼くパンの味は格別であった。奥土氏のイメージしたドイツパンを再現するため色々な粉を試したり、配合を工夫したりした。ただ、小麦は道産品だけでは納得のいく仕上がりにはならなかった。しかし、自分たちの農場で栽培した食用ライ麦や黒豆、麦、とうもろこし、かぼちゃなどを生地に練りこむことでオリジナルのパンが出来るようになった。しかも添加物は一切無し。特にライ麦の風味は奥土氏の記憶を呼び起こす味となり、10年前から本格的に製品として販売するようになった。

石窯のこだわり、おいしく焼ける訳
 製造するにあたり、大きな石窯を作ることに。友人のアドバイスを受けながら工房内に本格的な大きな窯をレンガで作り上げたのだ。ドイツでは窯の作り方は画一的ではなく、それぞれ焼く人の使い勝手の良い構造にしていたため、この窯も「奥土風」に仕上げた。
 なぜ手間のかかる石窯にしたのか。ドイツパンは食事用のパンで、どっしり、しっとりした食感。通常のガスや電気のオーブンでは先に表面に火が入り、中に火が入るまでに表面が厚く焼けてしまう。ところが
石窯は火で焼くのではなく、レンガに蓄積された熱で焼くため、パンの内部に火が入り易く、しかも短時間で焼け、表面もこんがりと仕上がるのだ。
 石窯は内部の温度が上がるまでには3〜4時間、薪を燃やし続けなければならない。そのため朝の4時過ぎから燃やし続け、窯の温度が適正になる午前9時前後からパンを焼き始め、12〜14種類焼き終えるのは午後を回る。夏場は発酵が早まるため、夜中から窯に火を入れ、朝一番に焼くという。パン作りも体力のいる仕事だ。

どんな味。そしてこれからも
 奥土農場のパンは素材の味がしっかりと伝わる。美味しい米をよく噛むと甘みが出てくるのと同じように、パンを噛む度に粉や練りこんだ食材の味がじんわりと広がる。ドイツパンは食事パンといわれるように、何にでも合う味といえる。しかも日持ちするパンが多いのもうれしい。
 奥土氏のスタンスはあくまで農業人。パン屋さんではない。美味しい作物を作る事によって、美味しいパンが作れるという。だから今の場所にこだわる。パン屋が主であるならば、駅前に店舗を構えたに違いない。価格は決して安くはない。しかし、一度食べた人は素材のこだわりと価格に納得し、長年のリピーターとなっているという。
 行楽の季節到来。丁寧に作った味を体験しに行ってみては。

奥土農場
〒048-1542 北海道虻田郡ニセコ町字近藤421
TEL&FAX(0136)44-1095
http://www.okutsuchi-farm.com/
E-mail:okutsuchi-farm@olive.plala.or.jp

※奥土農場のパンはFAX、工房直売店、ニセコ道の駅、札幌の狸小路5丁目「HUGマート」、季節によりサッポロさとらんどで購入することができます。製品はホームページでご確認ください。
※直売所の営業時期や定休日、上記以外の販売先等は事前にご確認ください。