小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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まちづくり学(1)

コンパクトシティ
小樽商科大学 商学部
社会情報学科 准教授
ビジネス創造センターフェロー 大津  晶


ご挨拶
「小樽學」をお読みになっているみなさま、はじめまして。小樽商科大学の大津と申します。小樽商大に着任して8年が過ぎます。
 私は昭和46年に北九州の小倉という街で生まれ、高校を卒業するまでこの街で育ちました。大学に進学して十数年を茨城県のつくば市で過ごし、たまたま小樽商科大学の公募で採用になって平成15年4月に赴任するまで、小樽はおろか北海道にはほとんど縁がありませんでした。
“ほとんど" というのはどういうことかと言うと、実は私の学生時代の恩師である腰塚武志先生(筑波大学副学長を経て現在は南山大学教授)が東京大学都市工学科高山栄華研究室で助手をされている時代に、同研究室で助教授をお勤めだったのが現在早稲田大学特命教授の伊藤滋先生(このところ日本相撲協会関係の報道で良くお姿を拝見しますね)でして、この方はみなさま良くご存知のあの伊藤整氏のご長男でいらっしゃいます。
 このように小樽と私のご縁は、あると言えばある、無いと言えば無いほどの微かなものでしたが、着任後8年を経たいまになってみると、私にとって小樽はまちづくりに関わるたくさんの市民や小樽商科大学で学び巣立っていく学生諸君との繋がりをもたらしてくれる大切な街です。「小樽學」という本誌命名の経緯は正確には存じませんが、私が担当させていただくコラムでは「小樽○学ぶ」の○のところに、 “を" 、 “に" 、 “で" 、 “と" 、 “が" などを入れて勝手な解釈をしながら、小樽のまちづくりについて書いてみたいと考えています。

都市計画について
 私の専門を尋ねられると「都市計画です」と答えるようにしているのですが、じつはこれが何とも据わりが良くありません。少し考えれば分かるのですが、都市計画というのは幅広い領域からなる総合科学と応用技術、歴史と経験則の蓄積からなる体系でして、とてもひと言で括ることができるようなものではありません。つまり「都市計画が専門」と言うとなんだか専門が無いような心許なさがあるし、一方で「都市計画のことはなんでも分かる」と思われるのはもっと困るし、と言うのが本心なのです。
 ところで、私の講義の初回では、学生に対して「『都市』とはなんですか?『都市計画』の役割は?」と問いかけるのが通例なのですが、さまざまある学生の「都市の定義」に共通するのは “人" です。さらに問いを進めていくと、都市に欠かせないものは「多くの人と人のつながり」であるというのがどうやら学生に共通する認識のようで、この分野に縁遠くまた社会経験も浅い大学生でも意外に本質的なものを感じているように思えます。
 実のところ、私が研究者として専門にしているのは、都市解析と呼ばれる分野の都市空間モデル分析という領域で、数理工学やオペレーションズ・リサーチの手法を応用して都市の空間構造を解析しようとする研究です。おそらくこれだけでは何のことやらさっぱり分からないと思いますが、前述の “つながり" を基本単位とした空間の特性を明らかにすることで、近年定着してきた「コンパクトシティ」の輪郭のようなものを描こうとしている、と理解していただければ良いと思います。

予告にかえて
 次回以降は大きく2つのことをテーマにして論じていきたいと思います。ひとつは前述のコンパクトシティについて。人口減少や環境問題などを背景に語られるコンパクトシティについて、未来の小樽の姿に重ねて解説してみたいと思います。もうひとつは地域と大学の関係について。小樽商大がこの地に開学して100年という節目の年でもありますし、まちづくりの観点からみた地域と大学の今後の望ましい関係について、日頃なかなか伝えることができない個人的な思いも併せて述べてみたいと思います。