小樽の皆さま、小樽出身の皆さま、小樽ファンの皆さまへ! 自立した小樽を作るための地域内連携情報誌 毎月10日発行
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編集後記

ゼロと空


 4月2日、札幌で佐々木邦俊氏(22号参照)のご講演を拝聴した。全日空というアナログの最先端から、BUGというデジタルの最先端の勤務を経て、真言宗の得度をされ、「ホウシュン」として独自の「映蔵菩薩行」に入られた稀な経歴の方だ。
 デジタルは0と1で成り立つが、その0は、仏教が発見したゼロすなわち空に通じるという画期的な問題提起をホウシュン僧は示唆する。仏教の祖・釈迦は紀元前だから、仏教のゼロとデジタルの0には約2千年もの隔たりがある。大胆にも2千年の時差に共通項を提起したことになる。
 デジタル技術は仏教でいうゼロを前提として仕組まれ、連続性を意味するアナログ世界に、ゼロ概念を加えてリセットを可能にした。
 デジタル技術は、「上書き」してはじめて過去のものが「消去」される。失恋であれ、トラウマであれ、被害妄想であれ、つらい過去は上書きできるのだ。「反省」や「学習能力」のみをエキスとして蓄積すれば、つらい過去を上書きして消去できるという。
 デジタル技術の0と1の組み合わせを、無と有に置き換える潔いデジタル哲学なる概念があってもいい。

歴史文化研究所
 副代表理事・編集人 石井 伸和